【電子カルテだけじゃない】HIS(病院情報システム)の機能まとめ
こんにちは。
診療放射線技師のララです。
この前こんなツイートをしました。
僕は学生の頃「HIS = 電子カルテ」という認識でいました。
でもちょっと違うみたいです。
正しくは「HISの一部が電子カルテ」ですね。
てことはHISには他にも色々な機能があるということです。
この記事では、「HISには電子カルテ以外にどんな機能があるのか」についてまとめたいと思います。
もくじ
HISとは
病院情報システム(Hospital Information System)とは、病院全体の診療・会計業務の効率化を目指すシステムの総称でHISと呼ばれています。
オーダリングシステムや医事会計システム、電子カルテなどもHISに含まれます。
※出典:LIBERWORKS
ここはさらっと流します。
下記の通りです。
病院全体の業務をIT技術で効率化したいならHISを導入しましょう。
オーダリングシステム
オーダリングシステムとは
医師の指示を電子情報として伝達するシステムのことです。
上記の通りです。
「医師の指示」は色々ありますが、例えばこちらです。
- 「採血してください」
- 「薬の処方をお願いします」
- 「レントゲンを撮ってください」
これらの指示を受けて、看護師、薬剤師、診療放射線技師などが分業するわけです。
もしオーダリングシステムが無いとどうなるでしょうか。
医師は「紙に指示を書く」しかありません。
「紙に指示を書く」のは場合によっては非効率と考えられ、オーダリングシステムが使われるようになったわけです。
ちなみに診療放射線技師は、オーダリングシステムで受け取った指示をRISというシステムで管理しています。
RISに関して詳しくはこちらで解説しております。
よろしければ参考にどうぞ。
オーダリングシステムのメリット
オーダリングシステムの主なメリットは以下です。
- 指示の作成が簡単で早い(一覧から選ぶだけ、みたいな)
- 指示の受け取りが簡単(手書きの文字が汚くて読めないってことがない)
- 患者さんの待ち時間が減る
パソコンで指示をやり取りするので、職員が紙を持ってあちこち動き回る必要もありませんね。
結果として、患者さんの待ち時間が減ります。
電子カルテ
電子カルテとは病院で医師が記録する診療記録(カルテ)を電子化し、保存・管理するシステムのことです。
電子カルテは、「真正性」「見読性」「保存性」の電子保存の3原則を満たさなければいけません。
※出典:LIBERWORKS
「電子保存の3原則」は診療放射線技師国家試験によく出題されます。
診療放射線技師国家試験対策として覚えておいて損はありません。
電子カルテでやること
電子カルテはその名の通り「患者さんのカルテ」なので、患者さんに関することが色々記録されています。
「カルテに何を書けばいいか」という観点で興味がある方は、こちらの記事が参考になります。
読まずにスルーでも大丈夫です。
「医学生を支援する情報サイト:INFORMA for medical」
医師、看護師、その他色々な職種のスタッフが患者さんに関する情報を電子カルテに入力します。
電子カルテは、職種間の情報伝達手段ですね。
ちなみに電子カルテから「レントゲン画像」とか「CT画像」とかを見る場合は、PACSというシステムが起動します。
画像関係はほとんどPACSというもので管理されています。
PACSについては、こちらで解説しています。
僕は診療放射線技師ですが、僕が「電子カルテでやること」と言ったら以下のような情報の確認です。
- 患者さんの症状
- 医師がどんな指示を出しているか(レントゲンとかCTとか)
- 採血検査で得られる腎機能の値(造影CTや造影MRIをやるなら必要な情報)
多分ですが、診療放射線技師が電子カルテに何かを書くことは少ないかと思います。
僕は電子カルテに何か入力したことはありません。
RISに入力した情報が電子カルテにも反映しますので。
職種によって必要な情報は違いますが、情報は全て電子カルテに集約されています。
電子カルテのメリット
電子カルテのメリットはこちらです。
- 情報共有がスムーズになる
- 診療業務の効率化が加速する
- デジタル化による管理の正確性が向上する
- 医療の安全・質を高める
- 分院設立時や他の医療機関、行政との情報共有に有利
※出典:JBCC株式会社
診療放射線技師として、個人的に「電子カルテ便利だなあ」って思うところは「新しい情報がすぐ見れること」ですかね。
造影CTとか造影MRIの際はとにかく「腎機能」が知りたいわけです。
採血検査で腎機能がわかります。
でも、わかるまでには採血してからしばらく時間がかかります。
電子カルテでは、採血を実施した時間もわかります。
そのため、いつ頃腎機能のデータが出るかも予測ができます。
- 採血は何時に行われたのか
- 腎機能の値はいくつなのか
これを紙とか電話でやり取りしていたら、大変だし非効率だしミスも起こりやすいでしょうね。
電子カルテによって、時間を無駄にすることなく仕事を進められます。
医事会計システム
HISを使って料金の計算も行われています。
医事会計システムとは
医事会計システムの歴史は古く1970年代にさかのぼります。医療において最も早くシステム化されたものです。
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略
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電子カルテと医事会計システムの関係は「診療行為を正しくお金に変える仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。
※出典:医次元「電子カルテと医事会計システム」より
電子カルテ上には、色々な情報が入力されています。
- 診察を受けた
- 検査を受けた
- 入院した
こういった情報を料金化する仕組みが「医事会計システム」ですね。
料金化してくれるのはいいんですが、「料金をもらう」業務は人間がやる必要がありました。
でも、時代は進みそれさえも自動化されています。
自動精算機
医事会計システムに連動した自動精算機を導入することで、
これらの業務(精算業務)が自動化され、患者自らが診察券を入れるだけで、本日の負担額が表示され、お釣りも自動で出て来るようになります。
入力間違いや釣銭の渡し間違いはなくなるのです。
※出典:医次元「電子カルテと医事会計システム」より
繰り返しですが、電子カルテ上には色々な情報が入力されています。
- 診察を受けた
- 検査を受けた
- 入院した
これらの情報が医事会計システムに連携され、同時に自動精算機に連動します。
患者さんは自動精算機に診察券を入れて、表示された料金を支払えば完了です。
まとめ
HISの主な機能について最後にまとめます。
HISは電子カルテだけではありませんね。
- オーダリングシステム
- 電子カルテ
- 医事会計システム
ただ、HISの機能はこの他にもまだまだ細かく分けられています。
参考までにリンクを貼っておきます。
>>ウィキペディア「電子カルテ」
まぁでも経験上ですが、ほぼほぼ電子カルテ上で操作するものがほとんどなので「機能」としては電子カルテの一部になるのかなと思ってます。
とりあえず、IT技術による効率化は医療従事者にとって本当になくてはならないものですね。
この記事を書いていて、ますます実感させられました。
というわけで記事は以上です。