こんにちは。
診療放射線技師のララです。
今回は放射線治療に関する話題です。
放射線治療を担当していて、苦労することのひとつがQAだと思います。
やり方がある程度決まってしまえば、QAは楽になりますよね?
ただ、MLCのdaily QAをやろうとするとShaperが必要になると思います。
Shaperとは、治療計画装置とは別の独立したソフトです。
MLCの形と動きを自在に作ることができます。
VARIAN社の装置を使っている施設であれば、標準で使えます。
でも、Shaperのマニュアルを見てもよくわからなくて難しいという状況になるはずです。
そこで今回は、Shaperの使い方を具体的なMLCのdaily QAプランを作りながら解説していきたいと思います。
ShaperでMLCの形と動きを作る
さっそくShaperを使っていきます。
Shaperの起動と新規ファイル作成
おそらくAdmin端末にShaperがインストールされていると思います。
写真のようなアイコンをダブルクリックで起動してください。
左上メニューからPatient > Newを選択してください。
ファイルの名前をつけます。
名前は何でもいいですが、迷ったら画像の通りにしてOKをクリックしてください。
左上メニューのField > New Field… > Closed Fieldと選択してください。
「left」と名前をつけてOKをクリックしてください。
MLCが出現します。
MLCが画面いっぱいに広がり過ぎているときはズームアウトしましょう。
Dynamic MLCの作成
左側のMLC全てをShiftキーを使って選択します。
小さいウインドウが開きます。
「Move by」のところに「5」と入力してOKをクリックすると、このようになります。
同じように右側のMLC全てをShiftキーで選択し、「Move by」のところに「-4」と入力してOKをクリックしてください。
画像のように、少し左寄りの所に1cmの隙間が開いたMLCができました。
ここから「Dynamic MLC」を作っていきます。
左上メニューのDynamic > Treatment Type > Dose Dynamicを選択します。
すると、Dose Fractionという表示が左上に出ます。
ここは「0.000」のままでいいです。
Shaperを始めて使う方は、よくわからなくなってると思いますが、進んでください。
そのまま新たにClosed Fieldを追加します。
名前は「right」とします。
上記と同じように、今度は右側のMLCを全て選択して「Move by」に5cmと入力します。
次に左側のMLCを全て選択して「Move by」に-4cmと入力します。
右寄りに1cmの隙間が開いたMLCができます。
Dose Fractionを1.000にします。
実はこれで完成です。
左上メニューのDynamic > Simulate > Movementを選択してみてください。
MLCが1cmの隙間を保ったまま、左から右に動くMLCファイルが出来上がりました。
MLCファイルを保存します。
左上のメニューからPatient > Save as…を選択し、任意の場所に保存してください。
EclipseでMLC QAプランを作る
Shaperで作成したMLCファイルはEclipseに組み込むことができます。
Shaperで作成したMLCファイルをEclipseに組み込む方法は、こちらの記事で解説しております。
Eclipseでプランを作ったら、あとは毎日同じMUの空ビームを出して、MLCが一定の動きをしているかを観察します。
具体的にはTimeを見ます。
線量率600で50MUを出すと、Timeは0.08になると思います。
施設によって多少の違いがあるのかもしれませんが、毎日の変化を見るのが目的です。
最後に
MLCのdaily QAはやり方がほとんど決まっていないし、やってない施設もあるのではないでしょうか。
MLCはわりと不具合を起こしやすいものです。
日常的に動きを観察しておいた方がいいです。
今回紹介したMLCのdaily QAは、以前僕が勤めていた病院で行っていたやり方です。
でも、Shaperを使ってMLCプランを作った人はもうその病院にはいないという状況でした。
放射線治療におけるQAはやり方さえ固まってしまえば、変えることは少ないと思います。
とはいえ、QA自体のメンテナンスが不可能になってしまうと後が大変です。
ツールは使わないと忘れてしまうものです。
診療放射線技師であれば、同感していただけると思います…。
というわけで、備忘録も兼ねて使用頻度が低いであろうShaperというツールの使い方を紹介しました。
ぜひ、参考にしてみてください。