【JRC2020】学会のオンライン化で見えたもの【医療業界の遅れ】

こんにちは。
診療放射線技師のララです。

コロナ流行の中、JRC大会はおそらく初めてオンライン化されましたね。
これから言えるのは、少なくとも従来の学会の形が徐々に崩れつつあるのは事実かと思います。

従来、オフラインで行われていたことがオンライン化されたわけです。
時代の流れからするとごく自然なことであり、なんら不思議なことでもありません。

とはいえ、内容がこれまたひどいです…。
やっぱりか…って感じなんですけどね。

医療業界はまだまだ遅れています。
JRC2020の何がひどいのかっていうのを、今回は見ていくことにします。

ユーザビリティが低過ぎる

ユーザビリティが低いとは、つまり不便だということです。
僕は今回のJRC2020に12000円払って参加しました。
ですが、まーーー不便です。

ログインが不便

JRC2020は参加登録をすることで、コンテンツが閲覧できるようになります。
コンテンツ閲覧にはログインが必要です。
でも、JRC2020の場合、ログインIDとパスワードをブラウザに記憶させる機能が使えません。

原因としては、ログインID・パスワード入力画面が開くときに、どうやら別ドメインのページに遷移しているみたいなんですよね。
まぁ、とにかくChromeだろうとSafariだろうとJRC2020のログインID・パスワードは覚えてくれません。
自分で覚えて毎回入力しなければなりません。
今どき、そんなサイトあまりありません。

間違ってブラウザを閉じてしまったりなんかすると、またログイン…みたいな感じになります。

Adobe Flash Playerが使用されている

みなさんはAdobe Flash Playerをご存じでしょうか。
簡単に言えばブラウザツールのひとつだと思っていいです。

JRC2020では演者のスライドを表示させるためにAdobe Flash Playerが使われています。
実はこれかなり問題です。

何が問題かというと、スマホで閲覧できないということです。
実際にスマホでJRC2020のコンテンツを見てみたんですが、表示されませんでした…。

今やスマホ所持が当たり前の時代です。
パソコン持っていなくてスマホしか持っていない人がほとんどです。
その時点で、ユーザビリティは低いです。

さらに、さらにですよ、Adobe Flash Playerは2020年にサポートが終了します。
サポート終了の背景は色々ありますが、それを2020年開催の学会でフル活用してしまっているのは、はっきり言って論外です…。

その場しのぎのオンライン開催ではないと信じたいです。
でも、今後のことを考えると正直期待は薄いと言わざるを得ません。

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マーケティング思考がない

マーケティング思考とは、物を売るための技術、見てもらうための技術みたいな感じです。
僕はブログ執筆にあたってこの思考について学びました。

マーケティング思考を学ぶ上で厳しい一節を目にしました。
見られない記事は全てゴミ記事

今のところ、僕のブログはゴミ記事だらけかもしれません…。
まぁそれはいいとして。

学会発表では未だに「見られるための工夫」がほとんどありません。

テキストベースである

おそらく今までの学会では、演題を見る主な目的は以下のような感じだったはずです。

  • ・知り合いが発表するから見に行く
  • ・同伴の人が見に行くから自分も見に行く
  • ・単位が取得できるから見に行く

ところが、今回のJRC2020はオンライン化されたことにより、いつもと状況が違います。
自分自身の決断で参加登録をし、自分自身の決断で閲覧する演題を決め、その演題の内容を読んで自分なりに解釈しなければなりません。
どう考えたって苦痛です

おそらくほとんどの閲覧者は、ひとつの演題を最初から最後まで読んでないでしょう。
はっきり言って長ったらしいし、わざわざ難しい表現を使って、閲覧者の理解を妨げているとも言えます。
そもそもテキストベースであることが原因と言ってもいいかもしれません。

英語が羅列されている

JRC2020でも顕著なんですが、スライドのほとんどが英語ですよね。
個人的に疑問なんですが、スライドを英語にする意味って何なんですかね…。
最初から最後まで読んでくれる人いるんでしょうか。
僕なら途中でもう嫌になりますけどね。

結局ディスカッションは日本語ですよね?
スライドの英語化は閲覧のハードルを上げているだけに過ぎません。

そもそもコンテンツがテキストベースですから、たとえ閲覧者にとって有益な情報だとしても、読まれにくいんです

実は、世の中的にテキストベースのコンテンツは今後なくなっていくと言われています。
今後、ほとんどのコンテンツは動画になっていくそうです。
動画なら、これまでの学会では伝えきれなかったことも伝えられる可能性を秘めています。

医療業界は、「これからのコンテンツは英語化されていく」と勘違いしてしまっているのかもしれません。
それは、あながち間違いではないとは思います。
でもどう考えても、英語の文章による説明をする人よりも、動画で説明する人の方に閲覧者は流れていきますよね?

今回のように、学会がオンライン化されたことにより演者のマーケティング思考の低さをより強く露呈してしまったと言っても過言ではありません。

これにより、今後は何が起こるか…。
おそらく学会離れが急速に進んでいくと僕は考えています。

学会の年会費に加え、参加費も払わなければなりません。
参加してみたものの、並んでいるスライドは難しい用語のオンパレード、挙句の果てに全て英語…。
そもそもこのプラットフォームに年会費や参加費を投資するだけの価値があるのか…。
こういった疑問がいずれ出てくると考える方が自然な気がします。

学会の存在意義は、今となってはただ一つかもしれません。
次で解説します。

結局は単位取得が目的

演題には一般演題に加え、認定取得のための単位がもらえる特別演題があります。
学会がオンライン化されたことにより、認定取得のための単位がわりと簡単にもらえるようになりました。

単位をもらうためには、特別演題のスライドに出てくるコードが必要です。
演題をちゃんと最初から最後まで見させるために、わざとらしくこのコードをスライドの中盤に表示させるんですよね。
オンライン化されたことで、この手法も全く意味がなくなりました。
すいません、これは余談です…。

今回のJRC2020では各演題にいいねボタンが設置してあります。
これを見ていくと、あることに気が付きます。

一般演題も、そこそこの「いいね」は獲得しています。
ですが、認定取得のための単位がもらえる特別講演では、獲得している「いいね」の数が圧倒的に多いです。

このことから言えるのは、結局のところ閲覧者の目的は単位取得なわけです。
オンライン化されたことで、この傾向がはっきり数字で現れてしまったと言えます。

JRC2020では、より多くの「いいね」を獲得した演者が賞をもらえるようです。
この賞をもらうのは至難の業かもしれませんね…。

まとめ

学会のオンライン化で見えた課題をまとめると以下です。

  • ・ユーザビリティが低い
  • ・演題のマーケティング思考がない
  • ・結局は単位取得が目的になってしまう

少なくとも今のままでは、学会離れは急速に進んでいきます。
学会は、高額な参加費を払わせるだけの価値を見出す必要があります。
とはいえ、個人がそんなこと言ってもどうにもなりません。

こんなこと言うと怒られそうですが、僕は学会を自分でよくしようなんて思いません。
僕は学会には所属していませんしね。

でも他人事で今回の記事を書いたわけでもありません。
これからの時代は、個人が発信者となっていかなければなりません。

発信者となった上で、それを発揮するのが学会では多分生き残っていけません。
今なら、発揮する場所はブログ、YouTube、SNSです。

医療業界が、こういったプラットフォームで積極的に情報発信が行われ、交流が行われるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。
だからこそ、今個人の行動が試されるのではないでしょうかね…。

というわけで、今回はこれくらいにしたいと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。