【放射線治療】ターゲットなしでプランを作る【QAをシンプルに】

こんにちは。
診療放射線技師のララです。

放射線治療を担当していると、QAが面倒だと感じることはありませんか?
何が面倒かというとガントリーやコリメーターの角度をいちいち手動で合わせなきゃいけないことではないでしょうか。
この記事ではその解決策をご紹介します。

放射線治療計画装置でQAプランを作る

結論から言うと、QAを楽にする方法は放射線治療計画装置でプランを作ることです。

どういうことかというと、ガントリーやコリメータを任意の角度に自動で動くようにします

ガントリやコリメータを手動でちょうど0度90度に動かすのが面倒くさいんですよね。
放射線治療を担当したことがある方には同感していただけるかと思います。
QAはちゃんとやるべきですが、非効率なままやるべきではないと思ってます。

そこで、具体的に放射線治療装置でQAプランを作る方法をご紹介します。
なお、ここでご説明するのはバリアン社のEclipseを使った方法です。
エレクタ社製のものをお使いの施設はごめんなさい…。

Plan Parameterで作る

まずEclipseを起動し、Plan Parameterを開きます。

左上のメニューからFile > New Patient…と選択してください。

ここでは名前とIDのみ決めればOKです。

次に左上のメニューでInsert > New course…を選択します。

このままOKをクリックします。

左上のメニューのInsert > New Plan…を選択します。

Patient PositionはHead First-Supineでいいです。

左上のメニューからInsert > New Field…と選択します。

装置の種類を選びます。

この画面になります。

Reference Pointsモードに入ります。
Addの部分のNew…からNew Patient Volume…を選びます。

なんか退屈ですみません…。
もう少しで終わりです。
Volume Typeは何でもいいですが、PTVでいいです。

Reference Pointの部分に、設定したVolume Typeを選択します。
ここまでがひと通りの流れです。
ここからは様々なQAプランの例をご紹介します。

ガントリテスト

ガントリ角度の精度をチェックするのに使えるQAプランです。

コリメータテスト

コリメータ角度の精度をチェックするのに役に立つQAプランです。

MLCテスト

MLCの項目で右クリックするとImport MLC plan in VARIAN Format…というのが選択できます。
ここからShaperで作ったMLCファイルを読み込むことができます。

Shaperを使ってMLCファイルを作る方法はこちらの記事で紹介しています。

【MLCのQA実践】Shaperの使い方解説
【MLCのQA実践】Shaperの使い方解説
放射線治療装置がある施設でMLCのQAをやろうとすると、Shaperが必要になるはずです。でもShaperのマニュアルだけでは不十分…。この記事では、Shaperの使い方を具体的なMLCのQAプランを作成しながら解説します。
Rational Life

QAプランを作るメリット

疲れない

毎日行うQAは、多分毎朝行っている施設がほとんどではないでしょうか。
放射線治療もわりと激務なので、毎朝の業務で集中力を使い過ぎるべきではありません。

毎朝のQAは、気を抜いてはいけないけど集中し過ぎてもいけない…
あらかじめQAプランを作っておけば、こんなジレンマも防ぐことができます。

継続しやすい

QAを簡略化すれば、毎日継続しやすいです。
「QAを継続するのは当然だろ!」って思われるかもしれませんが、施設によってはそうもいきません。

「患者さんが早くきたから、QAは今日はやめとくか…」
こんなことありませんか?
これはあくまでも一例ですが、QAが大変だと色々理由をつけて後回しにしてしまったり、飛ばしたりしてしまいがちです。

QAの作業量が多いと、実は継続できていなかったりします。
どんな状況でもQAが実施できるくらい、作業内容は簡略化することをおすすめします。

教えやすい

手動でリニアックのガントリやコリメータをちょうど0度とか90度に合わせるのは、ある程度慣れが必要です。
初めてリニアックを操作する人にとっては最初は難しいので作業に時間がかかります。

QAプランを作っておけば、リモコンのボタン操作で自動でガントリやコリメータを動かすので、覚えれば誰でも同じように作業できます。

仕事はできるだけ簡略化するべきです。
「教えること」も当然仕事の一部です。
短時間で教えることができれば、人手も増えやすくなります

QAプランを作ることで、仕事を簡略化できるだけでなく、「教えやすい仕事」にすることができます。
二重にメリットがあるといえます。

最後に

かなり長々とした説明になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、QAプランをあらかじめ作っておけば放射線治療における仕事はかなり効率的になると思います。

作り方だけでも知っておけば、例えばProfilerなどを使った簡易的なOCRの測定にも応用できます。
ダイナミックウェッジをサービスモードでいちいち設定するとなると結構面倒ですからね。

というわけで、ターゲットなしでQAプランを作る方法のご紹介でした。
仕事効率にわりと直結する部分なので、ぜひ使ってみることをおすすめします。